CHAPTER
TWO
検証!未来につながるキャンパスライフ

#08 卒業生が語る

学生時代の友は
一生の財産

学生時代の人間関係が、
今の仕事、生活を豊かにしている

卒業後、仕事でも積極的に知識や能力を身につけ、成長していくには、実は「学生生活の満足度」も関係していることが、第6回で明らかになった。さらに読み解くと、「学生生活の満足度」には、「よい友人」や「よい教師」との巡り会いが深く関わっていることもわかった。つまり大学生活で築く人間関係は、卒業後にも重要な意味を持っているということだ。

それは卒業生のさまざまな言葉にも表れている。卒業生による自由記述の内容をKJ法(第3回)を使って分析したところ、薬学部の卒業生は、「学内の人間関係の形成が、先輩後輩につながって、仕事も生活も豊かにしている」と考えていることが浮かび上がった。生命科学部の卒業生においても、「人のつながりに、学びも社会性も助けられる」として、「社会関係は、職種を横断して役立つスキルであり、人生を豊かにする」と語られている。

KJ法による分析

「社会人力」を伸ばすなら、
「よい教師」と出会うこと

「よい友人」や「よい教師」との巡り会いと「学生生活の満足度」、さらに「講義への熱心度」との関係を検証してみよう。

「よい友人」や「よい教師」との巡り会いと「学生生活の満足度」との関係が深いことは明白だが、ここで注目してほしいのは、「講義への熱心度」との関係だ。とりわけ「よい教師」との巡り会いは、「講義に対する熱心度」すなわち「学ぶ意欲」とも関わりが強いことがわかる。よい教師からの指導によって学ぶ意欲が増せば、より多くの知識や能力を身につけることにつながる。「よい教師」との出会いが、卒業後の活躍に生きることは想像に難くない。

しかし卒業生に学生時代に「よい友人」と巡り会ったかを問う質問では、61.2%が「とてもあてはまる」と肯定しているのに対し、残念なことに「よい教師」と巡り会ったかを問われて「イエス」と答えた卒業生は、23.4%に留まっている。もし今以上に「学生生活の満足度」を高め、「社会人力」を伸ばす方策を考えるなら、「よい教師」と出会う機会を増やすことに、より大きな可能性がありそうだ。

学生時代に「よい教師」と「よい友人」と巡り合った

カリキュラム、人間関係、
学生時代の不満は?

もちろん大学時代の思い出は、いいことばかりではないだろう。多少の差こそあれ、不満を持っていた人もいるはずだ。卒業生調査でも、わずか10%余りではあるが「学生時代に満足していない」と答えた人がいる。そうした卒業生が何を不満に思っていたのか、不満の類型化を試みた。

不満の原因として浮かび上がってきたのは、4つ。「専門科目の講義内容」と「専門科目の実習」、「友人関係」、「部・サークル活動」だった。学部別に違いがあるかを調べたところ、薬学部は、どちらかといえば友人やクラブ活動といった人間関係に関わることよりも、講義内容や実習といったカリキュラムに不満を持っている人が多い。一方生命科学部は、むしろ人間関係に不満を持っている人の割合が高いことがわかった。何に重きを置いて学生生活を送ったかによって、不満や満足を感じるポイントも違うのだろう。

不満の研究:
授業と友人関係からみた不満の類型化

仕事で困った時、頼りになるのは
東薬時代の友人?

よい教師との出会いは学びにおいて貴重だが、それ以上に、よい友人の存在が人生においていかに大切かを実感している人は多いだろう。支えになってくれる友人の有無は、仕事をする上でも重要だ。

「現在の仕事において難しい問題に直面した時に相談できる友人」の数を卒業生に聞いたところ、「1~2人いる」と答えた人は1,492人、「3~5人」と答えた人は1,559人、「6人以上」と答えた人も782人にのぼった。重ねて尋ねたのは、そうした友人の中に「東薬の卒業生が含まれているか」どうかだ。結果、「1~2人」と答えた人のうち42.6%、「3~5人」と答えた人のうち65.4%、さらに「6人以上」と答えた人のうち、実に76.1%が、「友人に東薬の卒業生がいる」と答えたのだ。東薬の卒業生の多くが、学生時代の友人と卒業後も長くつきあい、困った時の拠りどころと考えている。東京薬科大学で過ごしたことは、よい友人を得るという点においても有意義だったといえる。

現在の仕事において難しい問題に直面した時に相談できる友人

また今回の調査で、相談できる友人が多い人ほど「社会人力(社会人になってから身につけた知識・能力)」が高いことも明らかになった。その他、リーダーシップやチームワーク、最後までやり遂げる力といった社会で求められる力も、友人が多い人ほど高いことがわかった。

東薬で学び、よい友人と巡り会ったことが、仕事や人生を豊かにしている。卒業生が自由記述で語ったことが、データでも裏付けられる結果となった。

現在身についている個別能力の平均点